『申請を撤回した場合における費用の取扱い』

建設業の許可申請をした後、やむを得ない事情により、許可通知書の交付を受ける前に申請手続きを撤回せざるを得ない場合もあり得ます。例えば、申請に際し、専任技術者として選任しようとしていた者が、家庭の事情等により当該会社を退職しないといけないことになるような場合です。この場合において、行政庁に納める費用の取扱いが、都道府県知事許可の場合と国土交通大臣許可の場合では異なって参ります。要は、一旦、窓口で納めた費用が返金されるか否かという点で扱いが異なります。行政庁に納める同じ手数料ですが、おのおのその性質が違います。

具体的には、都道府県知事許可に際して納める費用は、行政庁の「審査手数料」としての性格を有しています。従いまして、申請書類が受理されるタイミングで審査開始となるため、申請手続きを撤回した場合であっても当該費用(審査手数料)は、戻ってきません。また申請受付段階では、発見されなかった不備が、行政庁の審査の中で発覚し、許可を受けることができない場合についても同様に費用は戻ってきません。

一方、国土交通大臣許可に際して納める費用は、「登録免許税」としての性格を有しています。この場合は、行政庁の審査が終了し、許可を受けるまでに申請手続きを撤回した場合は、当該費用(登録免許税)は、返還の手続きを取ることが可能になります。しかし、国土交通大臣許可であっても、業種の追加や、更新手続きの場合は、申請手続きを撤回した場合でも返還の手続きは取れませんので注意が必要です。

納付した審査手数料が無駄にならないように、申請手続きには許可を取得できない事由がないかどうかについて、慎重な調査や判断が必要になってきます。