『建設業における財務諸表のお話』

新規で建設業の許可と取得する場合や、許可換え新規の場合には、財務諸表の提出が必要になります。この財務諸表は、各会社における決算書をそのまま役所へ提出をいう訳にはいかず、建設業独特の表記が必要になって参ります。例えば代表的なものとして、「売上高」は、「完成工事高」、また「売掛金」は、「完成工事未収入金」と呼ばれており、逆に「買掛金」は、「工事未払金」となります。

ところで、財務諸表の提出に際しては、建設業の専業でされている会社のみならず、兼業事業をされている会社もあり、そこでも何点か注意が必要になります。提出が必要な書類の中に、「完成工事原価報告書」があります。完成工事の原価として、①材料費、②労務費、③外注費、④経費の報告が必要になります。しかしながら、兼業事業をされている会社で、初めて建設業の許可を取得される場合においては、工事に部分のおける上記の4点が原価として計上されていないケースもあります。このような場合は、販管費として計上されているため、決算書から勘定科目の振替えが必要になってきます。また、工事原価の内訳が外注費のみの場合は、「一括下請契約」(いわゆる丸投げ)を役所に疑われる場合もありますので注意が必要になります。経費部分については、その内訳として人件費の記載も必要になってきます。

いろいろとお話してきましたが、財務諸表は、毎事業年度終了後において提出が必要となる「決算終了届」においても提出が必要になります。蛇足ですが、この決算終了届は、決算終了日から4ヶ月以内の提出が必要になります。ついでに、決算終了届における注意点を申し上げます。怠ると、5年毎の建設業の更新が受けられなくなる点があります。また、更新時期の間際に5年分を纏めて行おうと思った場合でも、決算終了届において必要とされる書類の1つに納税証明書があり、千葉県の場合ですと、県税事務所において取得できる納税証明書は3年迄は遡れますが、4年以上となりますと取得ができません。今まで申し上げました点を考えた場合、財務諸表については、正しい勘定科目で記載し、決算終了届は、毎年度期日に間に合うように提出することが大切かと考えます。当事務所におきましても決算終了届の業務を行っております。ご不明な点が御座いましたら、当事務所までお問い合わせ頂ければ幸いです。