『建設工事とは』

建設業の許可取得の要件についてのお問い合わせを受ける中において、作業内容自体が、建設工事に該当しない場合があり、結果として建設業の許可が不要であるケースが散見されますので、今回は、細かい話になりますが、建設工事とはどういったものかについてお話したいと思います。建設業法第二条には、この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。と記されています。具体的には別表第一にて以下のとおり29種類が列記されております。

1 土木一式工事
2 建築一式工事
3 大工工事
4 左官工事
5 とび・土工・コンクリート工事
6 石工事
7 屋根工事
8 電気工事
9 管工事
10 タイル・れんが・ブロツク工事
11 鋼構造物工事
12 鉄筋工事
13 舗装工事
14 しゆんせつ工事
15 板金工事
16 ガラス工事
17 塗装工事
18 防水工事
19 内装仕上工事
20 機械器具設置工事
21 熱絶縁工事
22 電気通信工事
23 造園工事
24 さく井工事
25 建具工事
26 水道施設工事
27 消防施設工事
28 清掃施設工事
29 解体工事

また土木建築に関する工事とは、土木施設や建築物に関する工事であって、土木工事業とは、日本産業分類の小分類の中において、以下のとおり記されております。

主として堤防・護岸・水利・床固・山腹工事などによる河川・砂防・海岸・治山施設工事,ダム工事,各種の貯水池,用水池などの建設工事,各種の水路工事,かんがい排水施設工事,防波堤,岸壁・桟橋などの港湾施設工事,埋立工事,干拓工事,開墾工事,軌条敷設・停車場・鉄道土工・伏せどい・溝橋などの鉄道施設工事,地下鉄・地下工作物工事,ドック建設工事,高架道路・高架施設工事,橋りょう工事(鋼橋上部工事を除く),ずい道工事,水源施設・浄水施設・送水施設・配水施設などの上水道工事,下水管きょ・ポンプ施設・下水処理場などの下水道工事,道路工事,駐車場工事,飛行場・水上飛行場工事,運動競技場・競馬場・競輪場工事,宅地造成工事などのすべて又はいずれかを行うことによって,土木施設を完成する事業所をいう。

上記は、建設業法上における建設工事を理解する上での話になります。

一方、日本標準産業分類の大分類Dー建設業の中において、建設工事とは以下のとおり記されております。

建設工事とは、現場において行われる次の工事をいう。

(1)建築物、土木施設その他土地に継続的に接着する工作物及び、それらに付帯する設備を新設、改造、修繕、解体、除却もしくは移設すること

(2)土地、航路、流路などを改良若しくは造成すること

(3)機械設置を据付け、解体若しくは移設すること

※上記の中で(1)の修繕については、非常に解釈が分かれるところであります。完全に物を入れ替える場合は、付加価値が付きますので工事という解釈が成り立ちますが、消耗品の交換といった場合は、現状回復ということで、付加価値をつける作業というところまでは言えないと考えます。

最後に、建設工事とは認められない【建設業許可を必要としない】場合の例を列挙しておきますので、ご参考にして頂ければと思います。

・自社で施工する建売用住宅の建築(自社施工で、請負契約が発生していない為)

・建設現場への労働者派遣(人工出しは労働者派遣契約であり請負契約とは見なされない為)

・樹木の伐採・剪定・草刈り(工作物に該当しない為)

・道路清掃

設備や機器の運転管理や保守点検業務

・測量や調査(土壌試験、ボーリング調査を伴う土壌分析、家屋調査等)

・建設機械や土砂などの運搬業務

・船舶や航空機など土地に定着しない工作物の建造

・建設資材(生コン、ブロック等)の納入

・工事現場の養生(換気扇にビニールを被せる、窓にシートを張るなど。

・トラッククレーンやコンクリートポンプ車リース(ただし、実際に工事に必要な作業をするオペレーター付きリースは工事に該当し、その場合は工事請負契約が必要)

※※当事務所宛にあるお問い合わせの中で、一番多いのは、【設備や機器の運転管理は保守点検】のみの場合や、それにプラス修繕を伴う場合において、建設業許可の可否という点になります。そのあたりは非常に微妙な話になりますので、そういった場合は、個別対応にて役所へ相談ということになりますが、是非、当方までお問い合わせ頂ければと思います。